ユーザー・イリュージョン

統計学の基礎の話でAIC(Akaike’s Information Criterion)というのがあって、統計モデルを作るときに参考にする指標なのですが、これが結構味わい深い概念だったり。

 

例えば何かの現象を説明しようというモデルを作るとき、再現性の高いモデルを作ろうとするとどうしても精密なモデルを作ろうとする。簡単に言うと、考えうる、そして観測可能なあらゆる要因を取り込もうとするわけで、非常に複雑なモデルになることも多い。

 

こういうのって恐らく人間のサガというか「とにかく盛り込めるだけ盛り込んだれ」というのは普遍の本能なのかなとも思う。統計モデルだけでなくて、あらゆるところにあるわけです。料理もカレーに凝りすぎてスパイスまみれとか、仕事でもなんかよくわからない細かさマシマシだったりすると褒められちゃったり。

 

で、統計学の場合は、そういう無駄な精緻化(意味のある精緻化もあるよもちろん)ってそもそもモデルとしてどうなの?ということを考えることも大切とされている。特に、分析的なモデルを作るときは。要はできるだけ少ない要因でその現象をよりよく説明できるもでるがいいモデルという考え方がある。

 

そこで、AICは要因(変数)数を増やせば高まる尤度(もっともらしさ)と同時に変数の数をペナルティとする式から計算されるようになっている。AIC= -2・lnL+2kという式。これを最小化するモデルが良いモデル。なので、要因(正確には自由パラメータ数)であるkの数が増えると最小化から離れて良いモデルから遠ざかる。

 

僕は模型作りをやってるときに、特にどこまで精密に作り込むか、塗装やデカールをどうしようかと考えるときに、このAICを思い出しながらやっていることが多い。僕のプラモ作りモチベーションはとにかくたくさん、カッコ良いミニチュアを手元に置きたいというところなので、例えば、バッカニアの良さとはなにか?とかこのバッカニアがバッカニアであるのは何故か?とか考えながらやっている。

 

というわけで、先日作ったバッカニア、僕にとって「手元に置きたいかっこいいバッカニア」の要素にしたがって作っているので、パーティングラインとかはあまり気にしない、けど、塗装はぬらぬらテカテカにしたい、とか、エアインテークの中心のタービンブレードの突起物(アレなんていうんだろ)はどうしても追加工作で再現したいとか、ラウンデルマークは欲しいからデカール古くて散っちゃったけど、似たような二重丸は貼っときたいというような作り方になった。

 

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めんどくさいこと考えてるよね。自分でもめんどくさい人間だなぁって思うけど、こんな発想で楽しんでいる変なプラモデル趣味おじさんがいるということを記録しておきます。最近になってこういうブログ書いているので、次はプラモ作りから得たモチーフのかっこよさの気づきについてちゃんと言語化できるようになりたいなぁと考えています。では、Have a good “MOKEI” life !