結局なにがほしいの?という話。

軍用機のほとんどが、命ギリギリの場面で使用されることもあって、その開発意図というのはとても明確なわけだけど、実験機はそこからさらに限定して性能面で目的がはっきりしている。そういう開発目的全振りした姿というのが実験機の魅力になっているんじゃないだろうか。

 

僕の好きな飛行機の1つに必ず入るX-29は、前進翼という姿の奇異さが際だって、それだけでも実験機としての魅力満点なんだけど、全体的なプロポーションがとても綺麗だと思う。ヘンテコさと優美さは共存する。

 

とはいえ、多分開発者は美しさを追求したわけではなさそう。X-29の美しさの多くはベースとなっているF-5タイガーに由来する。むしろ、ボディはタイガーを流用して、前進翼とそれを制御する「フライ・バイ・ワイヤ」の開発に集中したのだろう(むしろフライ・バイ・ワイヤが本命)。

 

そんなX-29、これまでに3回ほど作っている。ほとんど小学生の間だけど、そのうち1回はエリア88仕様にしたのは、お約束。しかし、これまでに何度も言及しているけど、小学生の僕には十分な制作環境はなく、素組でデカールを貼る程度がせいぜいだった。いつかはリベンジしたいという思いは膨らむ一方。

 

そこで久々に手に取ったX-29だったわけだけど、結論から言うと、今回も塗装しなかった。墨入れもしなかった。挙げ句の果てにはデカールすら貼らなかった。なぜか?色々と資料を読み漁り、塗料も準備したのだけど、そうこうしているうちに「これは本当に自分がやりたかったことだったのか?」という気持ちがムクムクと膨らんでしまった。僕が好きだったのは、真っ白なボディにスレンダーなプロポーションを持つX-29だったはず。。。

 

おりしも、超音速備忘録のからぱた氏がバッカニアのキットを8つも購入し、素組を「刺身」と称して楽しむ姿をブログに掲載すると、「好きなプラモなら何度組んでもいいし、一球入魂もいいけど、やりたいことをその都度遊ぶのもいいのでは?」という思いが強くなってしまった。F1レーサーがTyrelの6輪を素組で作っていたのも影響したかもしれない。その結果がコレである。

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できるだけ丁寧に素組だけして、クリア吹いて終わり。そう、この朝の光を眩しく反射したX-29が欲しかった。あと10回は作るつもりだけど、とりあえず今回の気分はこれだった。